中山獣医科病院
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高度医療と診療内容例 再生医療
骨髄間質細胞を用いた再生医療
再生医療は21世紀の新しい医療として、また難病治療の切り札として注目されている最先端の医療です。
再生医療とは体内に存在する幹細胞(骨、筋肉、神経など複数の細胞に分化できる細胞)を利用して組織や臓器の機能回復をはかる技術です。
近年、ヒトの医療において臨床治験が開始されています。我々は、幹細胞を用いた再生医療を動物症例にも2003年より積極的に取り入れ、高度医療を提供していきたいと考えております。
当院の再生医療では、本人の骨髄中に含まれる幹細胞を用いています。
この細胞は骨、軟骨、神経などさまざまな細胞に分化することができ、また神経の再生を促進することが報告されています。
我々は本人より骨髄を採取し、培養によって細胞を増殖させて、病変部に投与する手法を用いて臨床研究を実施しております。
脊髄の再生
犬の脊髄損傷は、背骨の骨折、また椎間板ヘルニアなどによって発症し、感覚が麻痺したり歩くことができなくなる病態です。
脊髄損傷が軽度の場合、通常機能が回復しますが、重度の場合は機能の回復は認められず、車椅子での生活を余儀なくされます。
当院ではこれらの症例に対して、骨髄の幹細胞の投与を行っております。現在まで約40症例に実施しており、約半数の症例に何らかの改善が認められております。
これらの症例の中には車椅子を必要としないまで改善した症例も存在しています。
骨の再生
犬の骨折は、落下や外傷などによって発症します。ほとんどの症例は手術によって治りますが、中には骨が元通りにくっつかないことがあります。
特に、トイプードルやイタリアングレイハウンドなどのトイ種では癒合不全が起こりやすいと言われています。
当院ではこれらの症例に対して、骨髄間質細胞の投与を行っております。
多くの症例に実施しており、良好な経過を得ております。
予想される危険性・合併症
細胞の採取、または投与には、動物に麻酔が必要となります。
そのため、通常の手術と同様、麻酔に対するリスクがあります。
また、細胞の採取および幹細胞の投与時に細菌感染する可能性があります。
穿刺部をよく消毒し、抗生物質の投与を行うことで予防に努めます。
症例に感染症が発生した可能性のある場合には、抗生物質を中心とした治療を速やかに行います。
投与した幹細胞が目的とする組織以外の細胞に分化、または腫瘍化する可能性は全くないわけではありませんが、現在までそのような症例は存在せず、可能性は極めて低いと考えられています(ヒトの臨床治験においても報告はありません)。
もし移植した幹細胞が病的な変化を示した場合には、考えうる最善の治療法にて対応いたします。
詳細については、担当医とご相談ください。
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